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Football Lover's Heart. コンサドーレ+時々冬スポーツ+まれに日記。背景画像は窓についた霜。

タグ:宮の沢

コロナになってから中止されていた練習見学がGWに合わせて復活。
でももちろんファンサはなし。以前であれば選手達が引き上げる階段の際まで行けたけど、今は緩衝帯が深い川が流れる如く分け隔てる。幾ら駄目だといっても物理的に近寄ることが出来れば制御しない(出来ない)人達が残念ながら一定数いるのでやむ無し。

気温が上がらない、且つ降雨の予報があったので「行ってみて混んでたり寒かったりしたら早々に引き上げよう」くらいの気持ちで行って、結局1時間くらい見ていた。混雑度は、クラブハウス寄りのエリアはギッシリだったけどそこを離れたら自由に間隔を取って見られる感じだったので問題なし。寒さは問題。手袋持っていってよかった。目前にある山にはまだ雪が残っている。

クラブのイベントで宮の沢へ行くこと自体は2019年まで普通にあったし、去年のエリートリーグの観戦もした。けど練習そのものを見るのはかなり久しぶり。撮影した写真の記録を紐解くと2018年まで遡る。頻繁に練習を見に行っていたのはそれよりもっと前の時代のことなので、当然全力でJ2の頃である。宮の沢の練習=J2時代の姿が脳裏には焼き付いている。

そんな前提で見る練習は「えっ今ってこんな難しそうな練習してるの」だった。SNSで詳細をレポートすることは憚られているし、なにより「そういう部分を文字表現するのがそもそもとても苦手」なので喜んで割愛しますが、しばらく見ていないうちに…こんな…J1っぽくなっているなんて…とやっぱり今日も老害脳で咽び泣いている。だって難しそうなシュートもちゃんと入るんだもん…

まあそれ以上に選手達がすごく楽しそうに練習をしていて、それを見られたのが一番うれしかったです。ワーキャーギャー言う声がずっと響いていて、客席に向かって荒野くんが挨拶をしてくれたり、ミシャも登場時に客席に近づいて挨拶をしてくれた。ミシャとてもうれしそうだった。

遠目で見ても異様にリフティングが上手い人がいる。確認せずともわかる小野伸二。
深井さんと笑顔でともに走る高嶺くん。この笑顔だけを見たらとても狂犬だとは。
大嘉は遠目でも頭ひとつ飛び出ていてただでさえ目立つ。
自分の後ろで見ていた親子連れの子どもちゃんが「中島大嘉いるっ」と反応してた。フルネームで呼ばさる系選手。普段試合で見ている選手を専用競技場の間近なピッチで見られるのは少年たちにとってもすごくいいことだよね。こういうことも丸2年なかったんだよなあ…

リハビリ中の興梠さんが現れてランニングを始めると、客席から拍手があがった。声をかけられなくても伝えられることがあるなって思った。この2年間、こうしたことが何も出来ていなかった。ファンの小さな支えがない中、選手達は頭も身体も高度に使う練習をあたりまえのようにやるようになっていた。制限だらけで流れた月日の中で彼等の重ねた努力を思った。

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SNSに載せても体制に影響のなさそうな適当な一枚
選手達ってプロとして以前に、サッカーがとても好きな人達なんだなあって、練習見てたら思いました。好きなだけでプロになれるわけじゃないけど、好きじゃなかったらここまで出来ないよなあって。

そんなわけで宮の沢、みなさんもぜひ。
天気の良いときを選んでいくといいでしょう(
そして帰りに白い恋人パークでおやつを買って帰りましょう。


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宮の沢のサッカー場が出来た時、落成祝の花束を知人サポ一同で石水さんに贈ったことなど思い出している。あのころから宮の沢は夢のような空間で、今もそれは何ひとつ変わっていなかった。

隣にある白い恋人パークのお洒落な建物。時計塔から定時に流れる音楽。甘い匂いと芝生の匂い。目の前にいる選手達。それに上天気が加われば怖いものなし。浮き立つサポーターとともに雪虫も喜んで大量に飛び交う。

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ピッチ散水の水がかかる場所。
「あと2回ありますので…」と場内スタッフの方が半ば苦笑いしながら案内する。

普通に入れたら2千人くらいは入るはずの会場だけど、新聞報道によれば500人。メイン側はトイレの入り口までしか一般客は出入り出来ず、客入れをしたのはバックスタンド側とゴール裏。チケットは当然すぐに売り切れてしまい、少しでも出遅れると手に入れられないといった風情だった。それでも自分の後ろの席に知人サポが来たのは驚いたけど。

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札幌ドームも厚別も基本的に選手が遠いスタジアムなので、生で見るということ以上に「近くで見る」のがあまりにも久しぶりすぎて、そんな自分の目に映る選手達の姿は「ギャーかっこいい」だった。

自分の目の前の方向に突進してくる柳の速さや迫力や、斜めに傾きかけた秋の日差しが映し出す夫々の足の筋肉の影、ドドがボールを保持して上がってくるときの擬音が聞こえそうなぐらいの圧力、CKを蹴りに行くときに福森の眼差しの強さ。

まるで初めて生で試合を見に来たファンぐらいにすべてが新鮮に、そしてとても美しく見えた。こういうものを自分の日常から2年近く失っていれば、そりゃあ世界も輝きを失って見えて当然だわ。物理的に輝くものを見ていなかったんだなって。大昔ドームに巨人戦見に行ったときにベンチにいた清原のダイヤのピアスが遠目にもすごい光ってたなってそんなことまで思い出す程度には。



エリートリーグというので基本的にユースの子達が主体で、それにトップの選手が数人加わる程度だろうと思ったら、もらったメンバー表を見たら「全然ガチじゃん」。清水側も同じような陣容。いつかのサテライトリーグのようだ。トップの選手にとってもこうした機会は貴重なんだろうなというご時世を感じさせる。

その「ほぼトップのBチーム」の中に、先日飛び級昇格を果たした西野くんがいた。初めて見るのでどれだけの選手かちょっと注目してみた。前半はちょうど自分が見ているサイドの正面奥にいたので。
身体つきはいかにもまだ高校生だなという薄さがあって、BチームとはいえJ1の選手相手にどれぐらいやれるのかなと思っていたけど、「普通に身体入れるのうまい」「普通に周囲に指示している」「普通に周囲がよく見えてる」「普通に上ってくる」「普通に前線によいフィード出す」「普通に美しい」「普通とは」「17歳やぞ」となった。

若い世代からのトップ昇格とあって、「他所から取る金がないから」という見方を散見したけど、実際にプレーしているところを見てみると「ジュニアでクワド余裕で跳ぶならそりゃシニア上がるでしょ」と競技違いの発言をしたくはなった。トップチームのより厳しい条件下で争わせてみたいと思わせるやつですね。

ハチくんが負傷退場してから荒木くん(16歳)が入って最終ラインが荒野くん+17歳+16歳という「実際これは大丈夫なのか」という顔ぶれになっても、自分の周囲からはむしろ「すごくない…?」と小さく唸る声ばかりが聞こえたという。


終盤に入ってくるユースの子達がよいプレーをすると客席から強い拍手があがる。もちろんユースの子達以外にも。

テレビの地上波で放送されるようなスポーツは、現地じゃなくて映像であっても見る多くの人達に伝わるほどの情報量、即ち選手達の磨き抜かれ卓越した技術と強靭さがある。ローカルの大会やカテゴリー下の選手達はトップアスリートのそれとは違う。違うけど、現地に足を運ぶときは、単に見るというだけではなく「その空間をともに作る」一部になれる。客席の反応が選手の成長の一助になることも、編んでいく歴史の一部になることもある。

コロナ禍ではそうしたことがいろいろな競技から失われてきたけれど、今までこうやって、全国各地、あらゆる競技で培われていただろうことを、自分で拍手をしながら、人の拍手を聞きながら思った。

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西日の差し込む芝生が絨毯のようだった。

出来てからずっとここは夢のような空間。
来れない時間を長く経ても、それはすこしも、ほんとにすこしも変わっていなかった。

学生の頃に「一流になりたかったら一流のものをたくさん見なさい」って言われた事をよく覚えている。
でもその頃は、「一流」と言われていたものが「自分の好きなもの」とは一致しないことが多かったから、「一流である」ことよりも「好きだと思うもの」を優先して見ていた。割と長いことそれでやってきてた。 

好きだと思うものの中から、これは一流になるかもしれない という発見をすることは何度かあった。 実際その発見の精度はまあまあ低くなかったと思う。

でも「好き嫌いを超えたところで問答無用で一流」というものに出会ってしまうと、「一流になりたかったら」の言葉が唐突に真実味を帯びて感じられるのだから、気がつくのが遅いというか今頃というか、そんな気分の今日この頃。それを気づかせてくれたのは7月のアイスショー。好きで見に行った羽生君、さほど好きでもなく見に行ったPチャン、思い入れは全く違うけれど受けた印象は同じ。彼等ふたりの世界トップ選手の演技は無駄も隙もなく、切れ味よくそれでいて誰よりも滑らか、「予想以上に圧倒される」ということで一致している、紛うことなく「世界の一流」だった。

それを目の当たりにしたとき、足元を見つめ返さずにはいられなかった。
好きであることを大事にしすぎて、一流である事を後回しにしていた事を。

昨日久しぶりに宮の沢へ行ったら、伸二とイナと河合さんが(キャッキャウツフの)パス交換で練習してた。
小野伸二の体躯の美しさ。筋肉から何から身体のバランスが本当に均整が取れている。彼が繰るボールは従順な小さな生き物のように彼の足に吸い寄せられては離れる。崩れない一定の心地よいリズムで、滑らかな動きで何度も何度も。

誰よりも嬉しそうな表情でボールを蹴る伸二を見ていると、彼のサッカーへの真っ直ぐな愛情を感じずにはいられなかった。
そんな、ひどく身近にある一流。共に練習をしている他の選手達は、彼の一流をどんなふうに感じているんだろう。「ああいうふうになりたい」なのか「自分とは世界が違う」なのか。技術で食っていくと決めているなら、前者であってほしいと願う。なりたいと思ってなれなくても、それが自分でわかっていても、それでも「なりたい」と思うぐらいは。目指すぐらいは。志すぐらいは。それがなくてどうしてプロとして生きていけるだろう。

一流のものに魅了されるのは普通のこと。一流を志すものに魅了されることもよくあること。
でも、一流を志さないものに「多くの」人達が魅了される可能性は、たぶんとても少ない。


 

午後から練習試合があるというので喜んで宮の沢に出かけてみた。
初夏の日差し、きれいな青空に雲、緑、そこでサッカー。
それだけで本当幸せになれるよね宮の沢。

昨日結構長い時間出たばかりのはずの深井さんが今日の練習試合にも先発していた。
ぼんやり堪能していた。今日も労を惜しまず走る。
何故か自分でも1ミリも分からないけど、見ていると(このところ死ぬほど眺めている)羽生君と時々被る。 
姿形はまったく似ても似つかない。のに、なんでか時折姿が重なる。
一体私は彼等ハタチのアスリーツのどこに共通点を見出しているのか。自分的課題。
でもたぶんどっか一致してるから重なるんだろうと思う。他の選手ではこんな現象起きないもの。

それはともかく。
久しぶりに伸二のプレー見られてそれだけで幸せだった。
本当にサッカー好きなんだなあって、伸二のプレーからは真っ直ぐにそれを感じる。
手抜きとか絶対ない。まっすぐに、相手が自分の歳の半分以下の歳の子たちでも変わらない。
そういう姿勢が見てて大好きだ。

昨日の試合でさっぱりだった(らしい)ナザリトが後半プレーした。
位置取りはいいけどシュートはナザリトォォォォォだった。うーん。
って思いながら45分終了。
試合が終わって挨拶をしてすぐ、伸二が身振り手振りしてナザリトに何か伝えていた。
伸二がナザに何を伝えたのかはもちろんわかるはずもないのだけど、見てるだけの私達は試合でダメならすぐに「使わなくてよい」って判断してそのように行動する。でも、「チームメイト」はそうじゃないんだ。うまくいくようにコミュニケーションを取る。

考えてみればそれは当たり前だ。彼等はそれが仕事だ。勝つために「チームで」行動する。
そんなことを今日は伸二から学びました。やっぱり天の使いのような選手だね。
札幌に来てもう1年。来てくれて本当にありがとう。


 

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昨日大敗してしまったので今日は宮の沢へ行ってきました。
普通は大敗とかすると「やってられっか!」とか思うのかもしれないけど
何か捨て置けない気持ちがいっぱいで。
そしたら同じ気持かどうか判りませんが、
たくさんのギャラリーが集まってた。
いつも練習見に来る人達が「今日はたくさん人がいる」と驚くほどに。

着いたらちょうど選手バスが来たところで、
バスから降りてくる選手たちは一様に葬式帰りのようでした。
まあ、そりゃそうだろう。
別メの選手が数人、その中でも復活間近っぽい選手も数人。
元気なサブ組は7人しかおらず、ウリセスが入るほど人がいない。
サブっても昨日ベンチで出場した砂さんとかもいた訳ですが
昨日サッカーに深く傷つけられた彼等を癒すのも
またやはりサッカーなのだなあ と、
ミニゲームに躍動する選手の背中を見て思う。

リカバー組はほとんど口を開くこともなく黙々とリカバー。
ランニングしてても、選手同士言葉を交わすことがなく。
周を追うごとに自分を追い込みながら走ってる河合さんの息を切る声。
最後は身体と共に心も少し解れたのか、
前を向いて笑顔も少し見えたりした。

トップリーグで力が足らずこてんぱんにされても、
それでもこの人達はサッカーが心底好きな人達なんだな。

松葉杖姿のホスンは韓国に帰るようだった。
早速鶴を折ってきた人や、サポーターに握手を求められて
ホスンはそれに笑顔で応えていた。
そのホスンとファンのやり取りを、傍らでホスンの親御さんが見守ってた。
海外でプレーしてる自分の息子が大きな怪我をしてしまった。
親御さんだってそれをどれだけ心配に思ったか。

宮の沢に来た鹿島帰りのサポーターの姿も。
ウチらのリーダーもちょっと元気がない。
そうやって書いたら、
「ンなことないっすよ!」とか怒られるかもしれないけど。

話を聞きながら、
選手にかける言葉もなければ、仲間にかける言葉すらそうは見つからない。
ただそれでも、
I'm on your side.
それだけは必ず伝わってほしい。
伝えたいからこそ、みんな宮の沢に集まったのだろうと思う。

私はあなたの味方です。
スタジアムに集まる人達は、考えや行動の違いがあっても、
みんな敵ではない。
どんなに勝てなくてもそれは見失わないように、と思う。

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