試合前日の土曜日、野暮用があって東西線沿線方面に早々に出かけ、そしてその用事が早々に済んでしまったのでさてどうしよう。宮の沢に行くしかないわね。
ごきげんなお天気の中、練習が始まる予定の時間よりも早く着いたけどもうそれなりのギャラリーが集まっていた。という以上に、USが横断幕を貼っていた。
見ている間にどんどん幕の枚数は増えていって、最終的にスタンドの端まで、大小あわせて20枚くらいの幕が並んだ。
いまがコロナ規制の真っ最中だったらこういう応援の形を取ることも出来なかっただろう。
9月にしては強すぎる日差しのなか、それなりの距離を何度も往来して幕を準備している様子を見ていると、好きなこと書いてるだけの人間(わたし)は何やかや楽だよな…って思い知らされる。
このときはJ1昇格をかけて。
ダンマクに書いている文字をしっかり読んでいるなと思われる目線の選手もいた。
次の用事があったのでお昼で宮の沢をあとにしたけど、練習後に荒野くんが観客に挨拶をした動画が回ってきた。「これ明日絶対勝つやつ」って思った。これで勝てなかったら普通に実力が足りないだけ。
ゴッツ、もう58歳だなんて還暦間近じゃないの…でも見た目全然変わらない…田畑さんと河合さんの最終ラインは今見てもやっぱり全権を任せたくなる背中だわ…芳賀さん大人げないわ…知ってた…遠国くんマジでお大事に…
観戦を重ねると自分だけの思い出データベースが頭の中に構築されてきて、それらと今とを重ね合わせながら見るという楽しみが出来るのでみんな長く見るとよい。勝った負けたに一喜一憂するのもいいけど、勝った負けた以上のものを感じることがあるから。そしてそれは中々にかけがえのないものだから。
前日の他の降格争い戦線の結果を受けて、この日勝つと相当大きいというのはわかっていたし、何より磐田とは2008年、当時残留への望みを完全に断ち切られたといってよい試合をした記憶がある。あの時と逆のことをしなきゃいけない。絶対やる。
5-0ではなく4-0だったけど、VARのない時代だったら駿汰様のあれは得点だっただろう。
前回の声出しよりも大分声が出せるようになってきたし、周囲の知らないお客さん達とも何度もグータッチで盛り上がって、久々の友人との再会で飛びつかれたりと、制限のある中でも以前の楽しさが戻ってきていて、残留争いの中で重要な試合を取れて、福森の久々のFK、「昨日がリーグ戦初得点だって今日まで気づかなかった」シャビエルの得点、2-0でも全然安心出来ない90分に高嶺、そして小柏。満足以外にない。
と、思っていたのに。
脳内思い出データベースは「わずかとも言えないほどの希望をかけて挑んだアウェイゲームで木端微塵」「その時のサポーターの気持ち」を呼び起こしてきた。
絶対に勝ちたいと思ったのは磐田にではなくて、同じような場面で、なにもできないチームを応援するしか出来なかった過去の札幌自身だったのか。
「14年経ったらこの磐田みたいにJ1で勝つことが出来るようになるんですね、よかった」
ようやく成仏出来たのか、あのときの私達。
快勝なのに過去の傷が亡霊となって掘り起こされるという展開にはまったく戸惑った。
でもそういう感情を抱かせてくれるほどには力強く戦っていた札幌の選手達には改めて感謝。
脳内データベースはこの先も時折亡霊を呼び出してくることがあると思うけど(何しろひどい記憶が豊富なので)、しかしそれをひとつずつ成仏…いや供養…潰していくことでちょっとずつでも強いチームになっていくんだってこの日は思った。
敗北の記憶が足をひっぱるのと同じぐらい、勝利の記憶も自分達を上げていくよね。宮の沢に掲げられた横断幕のように。
(と思ったけど宮の沢の幕のあとの試合負けてることに気づいた!記憶の捏造!いや昇格出来たからいいよね!)(思い出データベースかなり雑だな!!)
リーグ戦のこり6試合。ここから転げ落ちたらそれこそ新たな巨大な亡霊を生みかねないのでしっかり頑張っていきましょう。上位陣との対戦が多いけど!そこを!なんとか!!